CICCIO “Giacca Con Tela”

ダブルフェイスに芯地を入れた
一枚仕立てジャケット

March 2021

photography yuko fujita

 

 

 

《作った人 :上木規至氏》

ダブルフェイス特有の膨らみ感で、この立体感。毛芯仕立てになっているのが驚きの一枚仕立てジャケット肩肘張らずに着られるスポーティな雰囲気をもちながら、ラペルの返りや胸回りの立体感が、大変美しい一着に仕上がっている。

 

 

 

 ハンドメイドでしか作れないダブルフェイスの一枚仕立てジャケットはごくたまにしか見かけず、あったとしても当然芯地は入っていない。それらはカーディガンのように軽やかに羽織れて、上品なリラックス感に満ちているものの、毛芯仕立てのジャケットには立体感では及ばない。スポーティなエレガンスを謳った服なのでそもそもの方向性が異なり、それはそれで構わないのではあるが。

 

 さて、チッチオの上木規至氏が一枚仕立てジャケットを手がけた。こちら、なんとダブルフェイスの生地をいちど手ではがしてから芯地を入れて仕立て、はがした生地をもとに戻すという大変な作業をした“ジャッカ・コン・テーラ”の仕様になっている。そんなダブルフェイス仕立て、イタリアでも見たことがない。

 

 パッと見た感じ簡易的なジャケットながら、着るととても立体的。決してこれ見よがしでない、チッチオの服の延長にある服なのだ。ダブルフェイス生地特有のふっくら感、力が抜けた柔らかな感じを楽しめながら、いつものテーラードの立体感。これにはかなり衝撃を受けた!

 

 

 

ダブルフェイスの一枚仕立てで、抜群に軽やかな着心地!

ダブルフェイスの一枚仕立てでありながら毛芯仕立てになっているという、驚きの一着“ジャッカ・コン・テーラ”。肩の力を抜いて着られる感じは、今の気分にぴったり。ビスポークのみで¥500,000~、納期は約6カ月~。こちらはドラッパーズのバンチ「OVERCOATS」に入っているダブルフェイスの生地で仕立てたもので、¥500,000(オーダー価格)。Ciccio(チッチオ ジャパン Tel.03-6433-5567)

本記事は2021年3月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue39